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Channel: 田中川の生き物調査隊
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暮れなずむ干潟

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大潮の満潮間近か,2012.10.29 17時12分頃の田中川干潟.西の堤防際から河口付近を眺める.


17時10過ぎにマリーナ河芸の街灯がともった.

この場所から、人々は干潟の中へ入っていく.カニたちや貝たちの住処を踏みつけて.魚釣りに行く人.釣りエサを獲る人.貝採りに行く人.鳥を観にいく人.空き缶を拾う人.犬の散歩をする人.

干潟の西北部は、右岸石積堤防工事の際に粘土質の土が入れられた.大小の石や粘土の塊があちこちに残っている.人々が踏み固めた、この付近の土質は干潟内では最も硬く、乾燥もしやすい.石積堤防は自然に優しい工法ではあるが、年数が経つと緩やかに沈み込んでしまう.時々、補修をしなければならない.補修のために、干潟の中に重機が入っていく.

そんな所にも、貝やカニが生息している.
陽が落ちて巣穴の中に入るカニもいれば、暗がりを待って巣穴から出てくるものもいる.


田中川干潟の南端,幾種類ものカニ達が暮らしていた泥干潟の岸辺は,台風の影響で漂着物で埋め尽くされてしまっている.2012.10.29


2005.9.17 17時45分頃,満潮の田中川干潟 この頃のハマボウ二代目はまだ小さかった.

青山高原の風車

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久しぶりに青山高原の湿地帯に出かけた.曇り空で陽が陰って,虫の姿は見られなかった.湿地を巡る遊歩道を歩き回ったが,どこまで歩いても風車が必ず見える.見えるだけではない.風車の回る音が大きく,軋むような不規則で不気味な音が絶え間なくする.風車の数もずいぶん増えたようだ.津市側よりもどうも伊賀市側に多いようだ.

まるで工場地帯のただ中にいるような気持ちになった.本当に気分が悪くなった.これは環境破壊であり,公害だと思った.
2012.11.6












コメナモミ

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キク科メナモミ属のコメナモミ Sigesbeckia glabrescens

亀山市坂本の日当たりのよい道端でコメナモミを見つけた.

『野に咲く花』によると,「山野の荒れ地や道ばたなどに生える高さ0.35〜1?の1年草.メナモミに比べて全体に小さく,ほっそりしている.茎や葉には短い伏毛がまばらに生えるが,長い開出毛はない.」

2012.10.20


花柄には腺毛はない



ヒラタハナバエ亜科2種

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ヤドリバエ科ヒラタハナバエ亜科のPhasia (Phasia) takanoi (Draber-Monko,1965)

多摩丘陵に住む知人を訪ねた帰途に,神奈川県山北町の丹沢湖に立ち寄った.道路脇にキク科の花が咲いていて,ヒラタハナバエ亜科のヤドリバエが3種類ほど訪花していた.内2種類は撮影できたので紹介する.
2種ともに手持ちの図鑑には載っていない.

丹沢大山総合調査学術報告書 丹沢大山動植物目録(2007)にはヒラタヤドリバエ亜科として2種ともに記録されていて,その内Phasia (Phasia) aurulansは「従来, 本種の分布地として日本では北海道のみが記録されていたが, 埼玉県より本州で初めての記録がなされた(玉木, 1997). 下の記録は本州から2 例目となると思われる.山北町三国峠(鈴木ほか, 2004)」という.

2012.11.4

Phasia (Phasia) aurulans Meigen,1824


Phasia (Phasia) aurulans Meigen,1824

アミガサハゴロモ

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ハゴロモ科のアミガサハゴロモPochazia albomaculata 

2012.11.5 亀山の里山公園に出かけた.主に林縁沿いの砂利道を歩き回ったが,湿地帯を横切る木道は角材の腐食が進んでいて,ゆっくりと歩かないと危ない.
この時期,出会える昆虫も少なくなってきた.この日はこのアミガサハゴロモくらいだった.

新訂原色昆虫大図鑑?によると,「体長7〜9mm.本種は本邦に知られる本属の唯一の種で,本州・四国・九州に分布し,カシ類の葉上で見出される.」
ハゴロモ科の頭部はほぼ胸部と同幅という.
別の図鑑には「7〜9月,カシ類の葉上でみられる」とあったので,11月に見られるのは珍しいことなのかも.


亀山里山公園

林縁のリュウノウギク

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キク科キク属のリュウノウギクChrysanthemum japonicum

2012.11.12 津市美里町穴倉の林縁でリュウノウギクを見つけた.この花を見つけると,葉をもんで香りを楽しむことにしている.

『野に咲く花』によると,「茎や葉に竜脳のような香りの揮発性の油が含まれていることによる.竜脳は,ボルネオやスマトラ原産のリュウノウジュからとれる香料で,樟脳の香りに似ている.リュウノウギクの葉をすりつぶし,ショウガをまぜたものは肩こりや腰痛に効くという.日当たりのよい丘陵や山地に生える高さ40〜80?の多年草.」

一度,薬として使ってみようかと思う.



干潟のホンヤドカリ2種

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ヨモギホンヤドカリPagurus nigrofascia(上)とユビナガホンヤドカリPagurus minutus(下)

撮りためた古い画像を眺めていたら,2005年に田中川干潟でヨモギホンヤドカリを見つけていたことが判った.当時は種名にまでたどり着けなかった.
ヨモギホンヤドカリの名前は数年前に知人から聞いていて,きっと三重県にも生息しているだろうなあ,志摩半島あたりの岩場海岸に行けば見つかるだろうと思っていた.
田中川干潟ではユビナガホンヤドカリがたくさん見つかる.現在のヨモギホンヤドカリの生息状況はどうなのだろうか.7月から10月は活動していないようなので見つけられない,冬場に調査すれば大阪湾のように県内各地でいっぱい見つかるかも.
和名は,新種記載をした駒井智幸氏が「本新種には新称ヨモギホンヤドカリを提唱する」として命名したもの.

ウイキペディアに,学名の種小名"nigrofascia"は「黒い環」の意で、歩脚にある黒帯模様に由来すると載っていた.また,産卵前ガード行動の写真まで載せている.えらく詳しい人が執筆しているんだなあと感心した.

参考文献
Komai,T.(1996)Pagurus nigrofascia,a new species of hermit crab (Decapoda:Anomura:Paguridae)
from Japan.Crustacean Research,25:86-92.
山田浩二(2007)二色浜におけるヨモギホンヤドカリの出現.自然遊学館だより,44:11.
山田浩二(2012)大阪湾におけるヨモギホンヤドカリの分布.貝塚の自然,14:16-19.


ヨモギホンヤドカリ 2005.3.13 田中川干潟にて トレイに入れて撮影


ヨモギホンヤドカリ 2005.3.13 田中川干潟にて トレイに入れて撮影


ユビナガホンヤドカリ 2005.3.13 田中川干潟にて トレイに入れて撮影


ユビナガホンヤドカリ 2005.5.3 田中川干潟にて

アヤヘリガガンボ

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ガガンボ科のアヤヘリガガンボDolichopeza geniculata(Alexander)

2012.5.18亀山市加太の森林公園で見つけたアヤヘリガガンボ.初めて出会った種で,一目で判った.会いたかった種のひとつなのである.

新訂原色昆虫大図鑑?によると,「体長8〜10mm.翅長10〜11mm.翅の前縁部に顕著な褐紋を有する種で,他に類似種を見ない.脚はほとんど白色で,腿節と脛節の末端は褐色を呈する.日本全土に産する.」

福井県のレッドデータブックでは「体長,翅長ともに10mm 前後の小型種.透明な翅の前縁に独特の黒褐色の模様を持つ顕著なガガンボである.生態については,ほとんど知られていない.日本中に広く分布するが,個体数は少ない.」とし, 要注目種とされている.

大事に家に持ち帰って標本にした.数年後に完成する三重県立博物館に収めてもらおうかと思っている.三重県での記録はこれまで無さそうである.

オオシラホシアツバ羽化

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ヤガ科クルマアツバ亜科のオオシラホシアツバ Edessena hamada

2012.5.24 亀山森林公園.オオシラホシアツバが草むらの中でゆっくり移動していた.細い茎や葉につかまりながら歩いているような感じ.翅に少し触れてみたら,ベルベットのような柔らかさであった.羽化したばかりのようである.

オオシラホシアツバ成虫の出現期は5〜8月.幼虫の食餌植物はクヌギ.開張は32-50?.

オドリバエ科Empis属Planempis亜属の一種

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オドリバエ科オドリバエEmpis属ヒラオオドリバエPlanempis亜属の一種

津市美里町.経ケ峰の麓.切通しの道路を走っていて,崖地に群れて咲くヤクシソウの黄色い花が目に留まったので,車を止めて捕虫網を振ってみた.網の中はアレチヌスビトハギの茶色い種子がどっさり付いてしまった.いわゆる引っ付き虫というやつだ.その中に1頭だけオドリバエが入っていて,その引っ付き虫に脚が引っ付いて身動きが取れないようになっていた.周辺を探してみたが,この1頭以外には出会えなかった.11月になってから見つかるオドリバエもそう多くはないだろう.

新訂原色昆虫大図鑑?によると,ヒラオオドリバエ亜属Planempisの特徴は「♂交尾器は腹端部から後方または後背方を向く.中胸背に通常は中剛毛を持つ.♂交尾器の尾角葉は背板葉の先端を超えて後方に伸びる.」

この種は昔,静岡で捕れたものと同じらしい.名前はまだ無い.
来年はもっと場所を変えて,秋季に発生する違う種類のオドリバエも見つけたいものだ.

2012.11.6



オドリバエ科Empis属Planempis亜属の一種♂


2012.10.28 亀山市で採れていたオドリバエ科Empis属Planempis亜属の一種♀ これで同一種のペアがそろった.

ヤマトヤチバエ

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ヤチバエ科のヤマトヤチバエ Limnia japonica Yano

松阪市飯高町波瀬で灯火採集した折に見つけたヤチバエ.近くを櫛田川が流れる.

日本産水生昆虫(2005.東海大学出版会)によると,ヤマトヤチバエの「成虫は河川沿いの草地に生息する.日本でのみ分布が知られ,九州で5,8,9月,本州では7〜9月,北海道で8月に普通に見られる.額および触角は黄褐色,顔は黄白色,中央に暗色帯をもつ.脚は黄褐色;前胸基腹板は剛毛を持つ;翅長6.5mm,体長7.5〜8.0mm.前翅の前縁は透明斑が少なくその他の部位よりも暗色がかっている.」
また,同書によると,セスジヤチバエ属Limniaの特徴は「触角刺毛は白色,かつ白色軟毛で覆われる.前翅は網目状の斑紋をもつ.翅脈(veinA1+CuA2)の先端は前翅の後縁に達する.」など.

利尻島のヤチバエとシマバエ(笹川,2005)によると,ヤマトヤチバエは「翅に多数の淡褐色斑点が並列する種で,九州および本州産模式種では黒色の中胸背が灰色粉でおおわれ,明瞭な暗色縦条が2本走っている.」

三重県のヤチバエ科の記録は,これまでヒゲナガヤチバエのみ.

文献
笹川満廣 (2005) 利尻島のヤチバエとシマバエ.利尻研究,(24): 101-102.
末吉昌宏 (2005) ヤチバエ科,日本産水生昆虫-科・属・種への検索.1229-1256,東海大学出版会.

2011.6.18

アカモンコナミシャク

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シャクガ科ナミシャク亜科のアカモンコナミシャク Palpoctenidia phoenicosoma semilauta Prout

2012.5.6 津市白山町川口.丘陵地の林縁にあるとある施設の壁面に止まる蛾,アカモンコナミシャクと判明.薄く紅をあしらって,白壁に良く似合っている.
開張15〜18?.成虫は4〜7月頃にみられるようだ.
近県では記録されているが,三重県ではどうなのだろう.

三重県の蛾類については誰もまとめてくれる人が県内にはいないので困ったものだ.三重県生物目録を作ろうとしている動きはあるが,蛾類は誰もやってくれない.

ショウジツルギアブ♀

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ツルギアブ科のショウジツルギアブ Dialineura shozii Nagatomi et Lyneborg, 1988

ショウジツルギアブの三重県での記録はこれまでに無いと思う.

Dialineura属は日本に2種,ヤマトツルギアブとショウジツルギアブである.この属の特徴は触角第1節はふくれ,第3節よりもはるかに幅広い.顔は長さよりもはるかに幅広い.♀前額(下方部を含む)と♂前額は毛でおおわれる.顔の側部(下方部を除く)は毛を欠く.

ショウジツルギアブは,♂♀のR1脈の先方部の周辺は黄褐.♀触角と複眼間の距離は触角第1節外面の長さの0.5-0.6倍であり,♀触角の全長は触角と前単眼間の距離の1.5-1.7倍である.♀腿節(先端を除く)は暗褐あるいは黒(♂と同じ).♀の腹部第2−7背板は光沢があり,側縁は淡(褐)灰粉を持つ.
体長は♂7.3-9.7?,♀8.9-11.0mm
分布は福島,栃木,茨城,埼玉,山梨,長野,兵庫,大分の各県(新種記載論文から)
ホロタイプは1971.7.24に長野県菅平(標高1000m)で採集された♂.
学名のshoziiは永富さんが友人の名古屋市のShozi Katoさんに献名したもの.なお,ヨシコツルギアブも同様にYoshiko Naganoさんに献名したもの.

♂はまだ見つけていない.何度か探しに出かけているんだが・・・・・.
♂の特徴については今回割愛した.今後見つけた時に紹介する.

文献
永富・大石 (2000) 日本産ツルギアブの同定.はなあぶ,9:1-32.


ショウジツルギアブ 2011.5.22 津市美杉町 

ヒガシヒゲナガヤチバエ

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ヤチバエ科ヒゲナガヤチバエ属のヒガシヒゲナガヤチバエ Sepedon oriens Steyskal

2010.6.1 津市半田の斎場近くに釜ケ谷池という池があって,釣りに来ている人も見かける.
親戚の葬式があって,待ち時間に池の周りを散策していて,このヤチバエを見つけた.それから2年半も経ってから,ようやくこの種名が判明した.

日本産水生昆虫-科・属・種への検索という2005年発行の本において,初めてヒガシヒゲナガヤチバエ(新称)という和名が登場する.
同書によると,元来日本,中国,フィリピンに生息する種で,成虫は2月から10月にかけて本州の関東以北で見られるという.
額と側顔にそれぞれ一対の黒斑をもつ.触角第3節は暗褐色.後頭部および胸部側面は白色微粉を装う.
体長は6.0〜6.5mmというから,よく見るヒゲナガヤチバエより小型である.

近年,愛知県や兵庫県などでも記録されてきている.関東から西へ分布域を広げているというのではなく,もともと広域に分布していたはずで,単なる調査不足でこれまで東海や関西地区で記録されていないだけだと指摘する人もいる.また,同属のヒゲナガヤチバエと間違えている可能性もある.三重県の既知の記録はない.

アオヒゲナガトビケラ

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ヒゲナガトビケラ科のアオヒゲナガトビケラ Mystacides azureus (Linnaeus)

2011.5.6 津市安濃町の安濃川岸辺で出会っていた虫がどうやらアオヒゲナガトビケラのようだとようやく分かった.

図鑑によると,アオヒゲナガトビケラは体長6?前後,触角は細長く前翅の2倍にあまり,各節は灰白色と黒色でまだらになる.成虫は4〜10月に出現,平地に比較的普通という.

普通種ながら,私は初めて出会った.今まで行ったことのない新しい場所へ,また出かけてみたいと思った.


カクムネベニボタル雌雄

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ベニボタル科カクムネベニボタル属のカクムネベニボタル Lyponia quadricollis 

体長 7.0〜13.0mm.分布 本州,四国,九州.出現期 3〜8月.成虫のエサ 花の蜜.
ベニボタルの一種,各地に普通.
朱赤色の前翅と発達した櫛状の触角を持つ.♀の触角は鋸状.
和名のとおり前胸部が四角形をしているが,前胸背板の形態は変化に富む.

ベニボタルの仲間は,ホタルと近縁ではあるが,発光はしない.形はややホタルに似ており,体は柔らかい.

2012.5.3 亀山森林公園にて

オバボタル

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ホタル科オバボタル属のオバボタルLucidina biplagiata (Motschulsky) 

図鑑等によると,
オバボタルは日本本土では普通なホタル科の昆虫の一つである.成虫の発光はほとんど目立たない.
体長は7-12mm,やや平らで柔らかい昆虫.前胸の斑紋をのぞいて全身がつや消しの黒.頭は前胸の下に隠れて見えない.触角はやや平らで幅広く,やや櫛状に見える.体は細長い楕円形,体の幅の特に広いところはない.前,中肢の爪の一方の基部に突起があるが,オオオバボタルほど著しくない.
成虫は初夏に出現する.雌雄とも腹部第7節にある1対の小さな点状の発光器からかすかでぼんやりした赤色の発光を連続的にするが,配偶行動には用いられず,雌雄の出会いはフェロモンによるとされる.
山間部の森林や林縁で見られる.昼間に木陰の低いところを飛んでいたり,低木や草の葉に止まっているのがよく見られる.飛び方はかなり頼りない.
北海道から九州までの各地に見られる普通種.国外では千島,朝鮮半島,サハリンから知られる.
幼虫で越冬すると推測されているが,越冬場所は判明していない.6月ごろになると土中の浅い部分の間隙で蛹になる.

2012.6.3 亀山森林公園

オニコメツキダマシ

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コメツキダマシ科ミゾナシコメツキダマシ亜科のオニコメツキダマシHylochares harmandi FLEUTIAUX

原色日本甲虫図鑑?などによると,
分布:北海道から九州.普通種
全長:5〜11.5mm
前胸背の凹凸が オニの顔に見えることからついた種名のようである.成虫は伐採木や枯れ木に集まる.

頭部に中央縦溝が走り,頭楯は末端中央が突き出る.前胸背板は十字溝があり,凹凸がいちじるしい.触角はほぼ数珠状.

2012.6.15 亀山森林公園

ヒメスギカミキリ

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カミキリムシ科のヒメスギカミキリCallidiellum rufipenne (Motschulsky,1860)

原色日本甲虫図鑑?などによると,
日本各地に分布するほか,朝鮮半島,樺太(からふと)(サハリン),琉球(りゅうきゅう)諸島,台湾にも産するスギやヒノキの害虫.
体長6〜13ミリ.体はやや長く,平たくて黒色でかすかに藍(あい)色を帯びるが,変化があり,大部分が赤褐色のものもあり,上ばねの大部分あるいは肩部だけ赤いものもある.腹部は赤褐色.成虫は3,4月ごろから現れ,7月まで温帯樹林帯のスギの伐採木に集まる.成虫で越冬するが,北方では幼虫で冬を越す.

♂は青みを帯びた黒色に前翅の両端が赤く染まる.赤い部分の大きさは個体差がある.
♀は全身赤褐色,腹板は黄赤褐色.

2012.5.3 亀山森林公園

オオゾウムシ

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オサゾウムシ科オオゾウムシ属のオオゾウムシSipalinus gigas

日本在来のゾウムシ類では最大種である.
成虫の体長は12-25mmほどで,ゾウムシとしては大型の部類である.個体差により倍ほども大きさが異なるので同種と思えないときもある.他の多くのゾウムシ類と同様に口吻は長く下方に弧を描き,全身が細かい凹凸のある硬い外骨格に覆われる.体は楕円球形で,前胸背は中央を除いて顆粒状突起に覆われ,鞘翅には点刻が9本の縦条をなす.
森林に生息するも,海岸部でも見つかることがある.成虫は夏に発生する.倒木上を歩行したり,カブトムシやクワガタムシ,カナブンなどと共に雑木林の樹液に集まる.夜には灯火にも飛来する.
伐採後の切り株で好んで発生するほか,貯木場で発生して材部に穴を開けるので林業上の害虫として扱われることもある.

2012.5.24 亀山森林公園
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